研究概要 |
本研究課題では自己発熱によるアルミニウムの発泡技術を開発することを目的として,次に示す発熱反応を利用してアルミニウムと水素化チタン(TiH2)からなるプリカーサを発泡させた。 Ti+B_4C→TiB_2+TiC プリカーサは素粉末(チタン,炭化ホウ素,水素化チタン,アルミニウム)の混合粉末を圧粉し,固化成形したものを利用した。プリカーサを加熱すると,チタンと炭化ホウ素の間で反応熱が生じるので,反応および発泡が自己伝播可能である。本研究課題では,一連の研究の中で次の事項を明らかにした。 1.自己発熱発泡条件 自己発熱発泡を可能とするには反応系粉末(チタンおよび炭化ホウ素粉末)の添加量が一定以上必要であることが明らかになった。 2.自己発熱による発泡挙動の観察 チタンを水素化チタンへ一部置換することにより,気孔率が向上することが明らかになった。 3.ポーラスアルミニウムの気孔率 本手法により製造したポーラスアルミニウムの気孔率を調査した。水素化チタンへの置換量が気孔率に影響を及ぼすことが明らかになった。 4.ポーラス構造観察および画像解析 自己発熱発泡により製造したポーラスアルミニウムの断面観察および画像解析により気孔形状の定量的評価を行った。一定以上のチタン粉末を添加することにより気孔サイズが増大することが明らかになった。 5.プリカーサ加熱時の温度履歴測定 発熱量制御による気孔形状制御の可能性を検討した。チタン粉末量を増加するなど,発熱量を増加することにより気孔率が向上した。 6.中空パイプとの一体成形の可能性の検討 自己発熱反応の熱を利用して,ポーラスアルミニウムと中空パイプとの接合を発泡と同時に行った.この際,反応熱量が十分でなく,強固な界面接着がは得られなかった。
|