研究概要 |
良く方位制御された<001>,<011>および<111>軸方位を有する純銅単結晶を育成し,これらについてECAP法により超微細結晶を作製した.超微細結晶形成中ではせん断面に平行なShear bandが形成されるグループ,試料挿入方向にDeformation bandが形成されるグループおよびこれら両者とも形成されないグループの3種類に結晶微細化挙動が分類されることを明らかとした.また,Shear bandの転位構造は非常に密な房状のMicrobandで形成され,これとMatrixとの間には鏡面状態が確認されるとともに,詳細なTEM観察によりMatrix中に幅約200nmの変形双昌が形成されていことを始めて明らかにした.さらに,この機構はポール・メカニズムによるものであることをも解明した. 環境中でのき裂発生および伝播挙動を検討した結果,き裂発生と伝播は粒界型であるとともに,応力拡大係数とき裂進展速度との関係は実用材料のSCCで示されると同様の伝播第一領域と第二領域に分けられることが明らかとなった.また,結晶微細化によりSCC感受性は著しく低下することをも明らかにした.さらに,単結晶から作製された微細結晶銅では多結晶銅よりもき裂の分岐が多く,かつ蛇行し著しく伝播に時間を要する. Al微細結晶材を用いて衝撃試験を行った.その結果,Al微細結晶材の衝撃強度は実用材に比べて1.6〜2.3倍と大幅に上昇する.また,常温および極低温(77K)においても顕著なひずみ速度依存性を示し,ひずみ速度が増すにつれて衝撃強度は増大することを明らかにした. これらの成果は,すでにPhil.Mag.Letters, Mater.Sci. &Engg., Scripta Mater.などに掲載済みであり,2006年9月開催予定のUFG-2006(Irsee, Germany)で講演予定である.
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