研究概要 |
本研究では、プロセスの短時間、低温化を目指して、ゾルーゲル法とレーザーアブレーション法のハイブリッドプロセスでテンプレート結晶粒成長により、良好な圧電特性を有する1μm以上の厚さのPZT薄膜の作製プロセスを開発することを目的とする。まず,テンプレート層としてはゾルーゲル法により(111)面あるいは(100)面の結晶配向がある厚さ0,1μmのPZT薄膜を作製する。それから、基板を加熱しながらレーザーアブレーション法で成膜する。レーザーアブレーション中にテンプレート層の結晶粒成長により、薄膜はその場で結晶化して、薄膜の結晶配向が制御でき、またプロセスの低温化、短時間化が実現できると考えられる。 ハイブリッドプロセスにおいて、レーザーアブレーション中のテンプレート層の結晶粒成長によりPZT薄膜を作製した。その結果、このプロセスで作製したPZT薄膜はテンプレート層と同様に(111)あるいは(100)面の結晶配向を持ち,良い電気的特性を示すことが分かった。また,作製した薄膜の微細組織について調べた結果,薄膜がゾルーゲル層からレーザーアブレーション層までの柱状組織を示し、ゾルーゲル層とレーザーアブレーション層の界面は明瞭に観察されなく、ゾルーゲル層とレーザーアブレーション層の界面の格子像でペロブスカイト相の(100)面が界面に平行し連続に配列していることが明らかになった。これは,レーザーアブレーションプロセス中にゾルーゲル層のペロプスカイト相の結晶粒が上に成長し,薄膜はその場でペロブスカイト相となることを示唆する。以上の実験結果から,ハイブリッドプロセスにおいて、レーザーアブレーション中のテンプレート層の結晶粒成長によるPZT薄膜の作製はプロセスの低温化と短時間化が実現でき,PZTの厚膜作製に対して有効であることは明らかになった。
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