研究概要 |
平成17年度は、今年度の技術に基づいて当初の予定通りMg-Sc母合金を用いたリボンの作製、機械的性質の測定、さらに腐食挙動と微視的組織の構造解析を行う予定であった。種々試みたが、廉価で本研究に必要な量のScの購入に失敗し、研究開始に至るまでの試料作成ができなかった。ところで希土類を含むMg合金の析出過程として、例えばMg-Gd合金では下記のように報告されている。 過飽和固溶体(SSSS)→β"(DO_<19>, Mg_3Gd)→β'(bco, Mg_<15>Gd_3)→β(fcc, Mg_5Gd) しかし、これらの相変態の機構には未だ諸説があり、硬化に直結している析出相がどれであるのかを明確にすることは、本合金の強度を改善する上で非常に重要である。そこで耐熱性Mg合金の時効硬化と析出挙動の関係に関する基礎データを得ることを主眼とし、高分解能透過型電子顕微鏡による詳細な組織観察を中心に行い、各析出相の結晶学的及び形態学的特徴を明らかにするとともに、析出初期段階の生成物の構造を明らかにした。とくに溶体化処理直後に焼入れした後の組織には,すでに粒状のコントラストが観察されたことから、母相のマグネシウムとGdおよびYによる集合体のようなものが形成されていると考えられた。
|