研究概要 |
摩擦攪拌作用によるアルミニウム合金と鉄鋼材料の接合について,その接合特性や接合機構を明らかにするために基礎実験を行った。以下に得られた結論を示す。 1)ツール回転数と接合速度の最適化により,接合欠陥を伴わない接合体の作製が可能となった。 2)接合体の6063側には撹拌部および熱影響部での硬度低下があり、撹拌部と熱影響部境界付近に最軟化部が形成され、引張試験ではその位置で破断が起きた。 3)6063/S45C界面には,数百nmの反応層が存在した。反応層は主として2相からなり,6063側はFe_2Al_5相からなり,S45C側はFeAl及びFe_3Al相からなることが明らかとなった。 4)引張試験において6063材破断したことより,確認された反応層は継ぎ手強度低下をもたらさないことが明らかとなった。 5)接合部材における内部巨視欠陥の発生状況は、入熱条件により変化する。入熱量過剰であれば界面近傍に欠陥が発生し、入熱量が不足であれば、ピン底部に欠陥が発生し、入熱量が適度であれば欠陥がほぼ発生しない。しかし、接合部材の予熱により欠陥形態が変化することから、入熱条件として接合線あたりの入熱量だけでなく接合に対する全入熱量が欠陥形態に影響していることが明らかとなった。 6)接合体の引張強度,曲げ強度は入熱量増加に伴い低下することが明らかとなった。 7)接合界面の鉄材は,微細に破砕されアルミニウムの塑性流動により攪拌部に分散すること,入熱条件によりその分散領域が変化することが明らかとなった。また,鉄材の分散からアルミニウムの塑性流動状態を推測できることを明らかにした。
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