研究課題/領域番号 |
16560634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐々木 元 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30192595)
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研究分担者 |
柳澤 平 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50034393)
松木 一弘 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30253115)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 陽極接合 / イオン伝導 / 界面組織 / 電圧 / 低温接合 / 蒸着 / アセンブリ / ジルコニア / ベータアルミナ / アルミニウム / 銀 / 接合強度 / イオン伝導セラミックス |
研究概要 |
金属とイオン伝導体を重ね合わせ、電圧を印加させることにより接合させる陽極接合法が低温接合の観点から注目されているが、電圧印加が接合界面近傍の組織や元素の移動に与える影響は解明されていない。そのため、本接合法をセンサーやアクチュエータのアセンブリ技術として利用可能であるかの判断はできない。そこで、本研究では、接合条件が界面構造に与える影響を明らかにし、陽極接合技術の応用可能性を探ることを目的とした。本年度は特に、電圧印加が原子拡散に与える影響を正確に把握するため、イオン伝導体に金属を蒸着させ、印加電圧が電流量や組織に与える影響を明らかにした。用いたイオン伝導体は、ほうケイ酸ガラスとβ-アルミナである。これにアルミニウムを真空蒸着させ、ガラスおよびβ-アルミナ側を陰極に、アルミニウム側を陽極に設置し、523〜673Kの温度で、種々の電圧パタンを印加し、その時の電流変化を測定した。また、EPMAにより断面の元素分析、TEMによる微細組織の観察を行い、電圧引加が界面組織に与える影響を明らかにした。得られた結果は以下の通りである。 アルミニウム蒸着ガラスとアルミニウム蒸着β-アルミナはともに直流電圧印加直後に電流が急激に上昇し、極大値を示した後、時間の増加とともに緩やかに減少する現象を示した。これは、Naイオンの移動現象と関連づけられ、定量的にイオン伝導度に対応していることを明らかにした。また、加熱温度の上昇に伴い、稼動イオン(Na^+)数は多くなるが、その増分は、温度の上昇とともに鈍化する傾向を示した。EPMA分析および透過電子顕微鏡観察の結果より、ガラスおよびβ-アルミナ中のNa成分量は接合界面に近づくにつれて減少しており、Na欠乏層が形成することが分かった。この欠乏層は、電気抵抗率が高いため、アルミニウムを電極として用いるセンサー等には悪影響があることが分かった。また、ガラスおよびβ-アルミナ中のNa欠乏層にAlの拡散が確認できた。電流量およびNa^+の移動した割合はともにガラスに比べβ-アルミナの方が多いことが確認できた。これはNa含有量の違いが影響しているためである。陽極接合をセンサーやアクチュエータのアセンブリ技術として利用できる接合条件は、Na欠乏層が小さく且つ、十分な接合強度が得られる背反条件を満たす必要があり、接合前の接合面の加工精度が重要な意味を持つことが分かった。
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