| 研究概要 |
アルミナ形成耐熱合金の耐水蒸気酸化性合金開発に関する基礎的知見を得ることを目的とする。本研究では先ず合金表面にアルミナを形成するFe-20Cr-4Al合金を基本合金(4ppmS)とし,これを帯域溶融法で精製した合金(<1ppmS),さらに基本合金に希土類元素(Y, Lu)または貴金属{(0.05,0.1,0.3,0.5)Pd(Pt),0.5Au,0.1Ir}を添加した合金(1PPmS)について酸素中(100cc/min)1373,1473,1573および1673Kで18ks間の高温酸化実験を実施した。ついで基本合金およびこれらの中で耐高温酸化性の優れた合金について酸素をキャリアーとしてこれに水蒸気(露点:80℃)を含有させた雰囲気中1473,1573および1673Kで18ks間の高温酸化実験を実施し,以下の結果を得た。
1 両酸化雰囲気中とも質量増加量はいずれの合金でも酸化温度の上昇とともに増大し,基本合金への貴金属の添加は質量増加量の増減にはほとんど影響がなかったが,Yの適量添加(0.1%)は質量増加量の低減に寄与した。
2 基本合金上のアルミナスケールは両雰囲気中とも1473および1573K酸化で表面全体から剥離した。水蒸気雰囲気中ではスケールは0.5Pd合金の1573Kで,0.5Au,0.1Ir,0.01Yおよび0.1Y合金の1573および1673K酸化で表面の大部分から生じ,これらの合金の剥離酸化物量は酸素中のそれらより大きかった。
3 0.5Y合金では両雰囲気中,またいずれの酸化温度でもスケールの剥離は認められず密着性が改善され,本研究における合金中で最もアルミナスケールの密着性が優れた合金であることがわかった。
4 水蒸気酸化雰囲気における0.5Pt,0.1Luおよび0.05Y合金ではスケールの剥離が一部で認められるものの,その剥離酸化物量は少量であるので基本合金と比較してスケールの密着性は改善された。
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