研究概要 |
本研究では,金属部品表面に任意テキストを変換した2次元バーコードシンボルを構成する微細窪み列を高速に打刻し,これをパーソナルコンピュータ・ベースの光学的な読み取りシステムによりデコードして情報として取得するシステムにより,金属表面の情報伝達機能を生成することを目的としている.本課題はこれまで表面あらさのような平均的性質の制御に用いられてきた微細表面形状の制御技術を,新たな高度な表面機能の付与に発展させるものである. 平成17年度においてはパソコンに制御された円錐形状の単一ピンで鏡面仕上げ板を高速に逐次打刻する微細塑性加工法と,CCDズームレンズとリングライト照明を用いた読み取りシステムを確立し,適用可能条件の広いことを例証した.本年度は打刻可能面の小さな部品を想定して窪み列の微細化をはかり,さらに表面あらさの大きな部品への適用を検討した. 平成17年度では窪み列のピッチは0.12mm(210DPI)であったが,打刻ピッチを半分(4倍密度,60μm)および1/4(16倍密度,30μm)に変更し,窪み径を最適化することにより16倍密度(840DPI)までの微細加工と読み取りが可能であることを示した.微細化の限界条件はピッチに対して安定的に形成できる窪み径をピッチの120%以内に収めることにある. 表面あらさの大きな試験片(ヘアライン仕上げおよび#600研磨紙仕上げの試験片)への適用では打刻窪みとバックグラウンドとの光学的コントラストが非常に小さくなる.この問題の解決には,試験片に対する照明の斜光の度合いを強めることと,さらに必要であればコントラスト強調・高輝度面拡大の画像処理を行えば,肉眼的に存在のわかるシンボルについては解読が可能であることが判明した.この結果から窪み部でのコントラスト形成機構を再検討し,高輝度領域の発生について穴縁の役割が大きいことを明らかにした.
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