研究概要 |
REBa_2Cu_3Ox(RE123; RE=Y, Gd, Sm)酸化物超電導体の包晶凝固における連続成長条件と成長界面安定性を調べるために、Y123、Gd123およびSm123試料について方向凝固を行い、連続成長組織が得られる条件と成長の安定性について検討した。直径2mmの試料で連続成長が得られる引き上げ速度はGd123では8mm/h、Sm123では最大12mm/hであり、従来多く報告のあるY123が2〜3mm/hであるのに対し、Gd123,Sm123の方が高い速度まで連続成長が得られることが明らかになった。また共に界面近傍の温度勾配が大きいほど連続成長の得られる引き上げ速度が大きくなることが確認された。一方、試料径を0.5mmに細くすることで、連続成長可能な最大速度がY123で10mm/h、Sm123で20mm/hと大きくなった。それに対しSm123で試料径を2mmから4mmに大きくしたところ、4mm/hでも単一ファセットの連続成長は得られなかった。本質的なファセット面の成長速度は変化無いと考えられるが、試料径が大きくなることでファセットの山と谷の温度差が大きくなり、単一成長できるファセット安定性が低下したためと考えられる。一方、各RE123試料の長手方向に対するab面の傾きを調査した結果、Y123では引き上げ速度の増加に伴いab面の角度が小さくなるのに対し、Sm123ではおよそ40〜50°、Gd123では20〜30°程度で引き上げ速度に対する明らかな依存性は得られなかった。このことからファセット界面の成長キネティクス異方性が各RE系により異なることがわかった。この効果により、大きな成長速度でab面が試料長手に平行に近くなるY123では、6mm/hで成長させた0.5mm径の試料で約1×10^5A/cm^2の高い臨界電流密度を得ることができた。
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