研究概要 |
原料ケミカルとして金属ビストリメチルシリルアミドを用いる液相法に基づく新しいテルル含有化合物半導体の合成方法の検討が行われた。実験では、この方法によりPbTeおよびBi_2Te_3が合成された。PbビスアミドおよびBiビスアミドは、1,4-ジオキサンとジエチルエーチル混合の合成溶媒に対する溶解度が低く,液相前駆体として各ビスアミド溶液を得ることができなかった。しかし、Teビスアミドの存在下においてはPbビスアミド及びBiビスアミドの溶解度が増加するため、Teビスアミドの合成系に、PbあるいはBiの金属ソースであるPbCl_2あるいはBiCl_3を添加して連続的に各ビスアミドを合成することにより、PbTe及びBi_2Te_3の合成に適した混合ビスアミド溶液を得ることができた。また、これらの混合ビスアミド溶液にn-ブチルアルコールを添加することにより対応する混合ブトキシド溶液を得ることができた。これらの混合ビスアミド溶液或いは混合ブトキシド溶液を加水分解することにより、それぞれアモルファスのPbTe前駆体粒子及びBi_2Te_3前駆体粒子が得られた。PbTe前駆体粒子は、水素雰囲気下400℃で熱処理することにより立方晶PbTeへと転位した。また,Bi_2Te_3前駆体は水素雰囲気下300℃で熱処理することにより菱面体晶Bi_2Te_3へと転位した。混合ビスアミド溶液中のPb/Te比及びBe/Te比は、加水分解によって得られた各前駆体粒子や水素還元後の化合物半導体粒子においても良く保たれていた。
|