研究概要 |
環状オリゴ糖を利用した難分解有毒物質汚染土壌の除染手法の開発に関して以下の結果を得た. 1.修飾シクロデキストリン添加によるビフェニルおよびナイルレッドの溶解促進効果 RM-β-CDとHP-β-CDを用いてビフェニルおよびナイルレッドの溶解度促進効果を測定した,溶解度はRM-β-CDにより著しく促進された. 2.ビフェニルと土壌およびビフェニルと各種活性炭の吸着平衡の測定と相関 黒ぼく土および各種活性炭とビフェニルとの液相吸着平衡を測定した.活性炭の平衡吸着量は黒ぼく土の約1000倍であった,平衡吸着量はFeundlich式で相関することができた. 3.シクロデキストリン水溶液と浮遊活性炭による土壌吸着ビフェニルの除去速度の測定 ビフェニルを吸着させた黒ぼく土とRM-β-CD水溶液および活性炭を混合し,土壌からのビフェニル除去量を測定した,浮遊活性炭の除去率は他の活性炭に比較して高くなった. 4.シクロデキストリン水溶液の添加による土壌吸着ナイルレッドの除去速度の測定 ナイルレッド汚染土壌とRM-β-CDを2軸混錬機を用いて混錬し,土壌に吸着したナイルレッドの除去過程を測定した.最大除去率は土壌の含水率が35%の場合が最も高くなった.また,共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)を用いてナイルレッド吸着土壌を観察した結果,土壌への吸着によって,赤色強度が高くなり,CLSMによる定量測定の可能性が示唆された. 5.シクロデキストリン水溶液と土壌の混合法の違いによるナイルレッドの脱離挙動の変化 2軸混練機および他の3種類の混練法によりナイルレッドの脱離速度を比較した.混練剪断力が最も高い2軸混練機による除去方法が最も優れており,混練剪断力の重要性が示唆された.
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