研究概要 |
本研究のコロイド包括ゲル化処理プロセスでは,(1)処理対象コロイド廃液とアルギン酸Na水溶液を混合し,(2)塩化Ca水溶液に滴下する。(3)処理対象物質はアルギン酸Caゲル中に閉じ込められる。(4)ゲル懸濁液を重力脱水し,次いで(5)圧搾脱水することにより,(6)対象液は,清澄な搾液と脱液ケーク中に閉じ込められた除去対象物質とに分離される。本法の非水系への拡張についても検討した。 処理対象物質としてメジアン径が1.4μmの自動車用ワックスエマルションを調製した。ワックスを包括したアルギン酸Caゲルを圧搾脱水処理した際の搾液中へのワックスの漏れは,仕込み量の0.04%以下であった。次いで,油滴のメジアン径が1.8μmのシクロヘキサンエマルションを調製した。エマルションを包括したアルギン酸Caゲルを圧搾脱水処理した際の搾液中への油滴の漏れは,仕込み量の0.006%以下であった。 吸着プロセスを介し溶存有機物をコロイド包括処理するプロセスを検討した。有機物にトルイジンブルー(TB)を用い,吸着担体には粒子径が85nm〜450nmのシリカ粒子を用いた。種々の濃度のTB水溶液をシリカコロイドと等量混合し,さらにアルギン酸Na水溶液と混合した後,TB包括アルギン酸Caゲルを調製した。ゲルを圧搾脱水した際の搾液へのTBの漏れは,吸着担体であるシリカ粒子が存在すると,大幅に抑制されることが明らかとなった。 非水系コロイド処理のモデルプロセスとして,菜種油にポリメチルメタクリレート(PMMA,粒径0.15μmまたは10Fm)粒子を分散させ,12-ヒドロキシステアリン酸と混合することでゲル化させ,次いで圧搾脱液し,PMMA粒子をオルガノゲル内に閉じ込めたまま,清澄な搾液を得るプロセスを検討した。菜種油中のPMMA濃度が1000ppm以上のとき,搾液に漏れた粒子の割合は仕込み量の1割以下であった。
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