研究課題/領域番号 |
16560681
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物機能・バイオプロセス
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
加藤 紀弘 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (00261818)
|
研究分担者 |
諸星 知広 宇都宮大学, 工学部, 助手 (90361360)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | クオーラムセンシング / 高分子ゲル / シクロデキストリン / シグナル物質 / 細胞間情報伝達 / グラム陰性細菌 / ホモセリンラクトン / 包接複合体 / アシル化ホモセリンラクトン / アシルホモセリンラクトン |
研究概要 |
グラム陰性細菌の細胞間情報伝達機構クオーラムセンシングではアシル化ホモセリンラクトンが情報伝達シグナルとして生産される。菌体増殖に伴い周囲のシグナル濃度が上昇すると、本機構の支配下にある遺伝子の転写が活性化される。バイオフィルム形成も本機構により制御されているとの報告がある。本研究ではバイオフィルム形成を未然に防ぐ新しい高分子ゲル材料を設計した。ホモセリンラクトン類と包接複合体を形成可能なシクロデキストリン類を、ヒドロキシプロピルセルロースなどを化学架橋し形成させたヒドロゲルに固定化した。培養液中にこのシートを浸漬することでシグナル分子を吸着除去可能となる。人為的にシグナル濃度を低く抑制することで特定遺伝子の転写をブロックする。ホモセリンラクトンをシグナルとして生産している感染性細菌の例としてセラチア菌、緑膿菌を選択しそれぞれのクオーラムセンシング制御に及ぼすシクロデキストリンの効果を調べた。例えばセラチア菌のクオーラムセンシング機構により生産が制御されている抗菌剤プロディジオシンの生産量は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン固定化ゲルシートを培養液中に浸漬しておくだけで約10分の1程度まで抑制可能である。緑膿菌のクオーラムセンシング制御にも本研究で開発したシクロデキストリン固定化ゲルシートは有効に作用し、本機構により活性化されるlasB遺伝子の転写活性を制御し関連するタンパク質生産量を抑制することを実験的に示した。また、培養液を連続的に通液するフローセルを用いて本研究で扱った緑膿菌PAO1(QF50-lasB)株がバイオフィルムを形成することを確認した。これらの結果は本研究で提案する原理に基づきバイオフィルム形成を制御できる可能性を示唆している。細胞間情報伝達シグナル分子と包接体を形成可能な高分子ヒドロゲルシートを用いてクオーラムセンシング機構を制御可能である。
|