研究概要 |
まず,実験システムの設計・製作,基本的な計測制御プログラムの作成を行った.それに基づいて,モータトルク指令電圧と実トルクとの関係等,実験用マニピュレータ部の駆動系に関する基本特性の計測および解析を行い,駆動系モデルを求めた. つぎに,実験用2自由度マニピュレータのパラメータ同定実験を行った.同定実験として,マニピュレータの水平平面内運動実験および鉛直面内運動実験を行った.前者では,各一方の関節を固定して1リンクの状態とし,一定トルクでの加速度運動の運動軌跡を計測することで,各慣性項および粘性摩擦項のパラメータ同定を行った.パラメータ推定方法として,シミュレーションおよび実験による運動軌跡の残差の二乗和を最小とする非線形最小二乗法を用いた.その際の初期値として,設計図等から得られる概算値を用いた.後者の鉛直面内運動実験では,水平実験と同様に各一方の関節を固定して一定トルクを与え,トルクと重力トルクが釣り合う位置を計測することで,重力項に関する同定を行った.パラメータ推定方法には線形最小二乗法を用いた.これらによって得られたパラメータはどれもシミュレーションと実験結果が良く一致した.さらに,実験で得られたパラメータ以外については,リンクの軸間距離については設計図より,質量等は分解して実測することにより求めた.これらの結果から,運動方程式における基底パラメータがすべて得られた. さらに,得られたパラメータの妥当性を検証するために2つの実験を行った.1つは,重力項の検証を行うための重力補償制御実験である.重力補償制御を行うことで,任意の姿勢でマニピュレータが静的に平衡状態となることを確認した.2つめは,状態フィードバックによるシステムの線形化および線形化システムに対するLQ最適制御を用いた位置決め制御実験である.実験とシミュレーションの結果はほぼ一致することを確認し,得られたパラメータの妥当性を検証できた.しかし,一部のパラメータと駆動系モデルについて若干のチューニングが必要であった.
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