研究概要 |
日本での国内生産及び輸入からなるマテリアルバランスの中で最終的にごみとして廃棄される量は全体の1/4を占め年間約5億トンに上る。そのうち市町村に処分が義務付けられている一般廃棄物が5千万トン,また事業者の自己処理が義務づけられている産業廃棄物は3.9億トンにのぼり,最終処分場不足や処理に伴うダイオキシンの発生問題から迷惑施設と見なされ処理場所の確保が問題となっている。そのため処分場に余裕のある他地域へ高速道路などの交通網を用いた広域輸送により急場をしのいでいるところもある。この背景を踏まえ,ゼロ・エミッションを支援するための高度循環機能を有する物流システムに関して,船舶を利用したシステム構築をした場合のフィジビリティスタディを行い,以下の点を目的として研究を行った。 (1)生産活動として必要とする原料と廃棄物の把握 製品を生産するためには他の製品を使う必要があり,そのために多くの原材料が生産過程で消費されている。生産における原材料として,どこまで廃棄物から賄えるかがこの問題の鍵となるため,現状でのくずの利用状況の把握と,産業活動による廃棄物から原料として有価物に転化できる可能量について推定を行った。 (2)物流問題としての設定 ゴミ輸送によるエネルギー消費とこれに伴う排気ガスの排出があり得るため,排出原料との輸送に伴う排出のバランスを取ることが必要条件となり,さらには生産地と消費地の立地性と機能配置の問題が重なるため,これらの関連を明らかにした。 (3)物流システムの提案 日本では,生産工場や処理施設やリサイクル施設が沿岸部に点在し,大きな消費地も沿岸部にあるため,物流モードとして船舶の利用が十分に考えられる。このため船舶を利用したゼロ・エミッションを支援する物流システムを提案しフィジビリティスタディによる評価を行った。
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