研究概要 |
1.真空樹脂含浸法(VARTM法)を用いて,T700炭素繊維多軸織物基材を強化形態,またビニルエステル樹脂を母材とするCFRP積層板を作製した.その結果,樹脂粘度の影響により樹脂供給口付近に樹脂リッチ部が生じ,成形品には真空口付近から樹脂供給口にかけて,力学的特性および繊維体積含有率が低下する傾向が示された.スチレンモノマーを用いて樹脂粘度を低下させることで,力学的特性および繊維体積含有率の偏りは減少した. 2.T700炭素繊維多軸織物CFRP継手の継手面の基材構成とラップ長さおよび継手強度の関係について検討を行なった.その結果,継手面が0゜/0゜で構成されたものが最も継手強度が高く,ラップ長さの増加による影響はわずかであった.また継手面が90゜またはマット材で構成されたものではラップ長さが増加するに伴い大幅に継手強度が増加した.継手面に45゜材が含まれる場合は,ラップ長さは継手強度に影響しない. 3.T700炭素繊維多軸織物CFRP継手の成形において,基材全体に同時に樹脂含浸させるwet on wet成形,および樹脂硬化後に継手面を接着させるdry on wet成形による継手強度への影響を検討し,wet on wetに比べdry on wetでは継手強度がおよそ10%低下する結果を得た. 4.4.T700炭素繊維多軸織物CFRPとの比較対象として,T300炭素繊維平織CFRPのwet on wet成形およびdry on wet成形による継手強度の比較を行なった.その結果,wet on wet成形による継手構造はdry on wet成形による継手に比べ,約55%高い継手強度を示した.また,継手長さ25mmのwet on wet成形において,T700多軸織物CFRPの継手強度は,T300平織CFRPの継手強度に比べ,約20%高い値を示した.
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