研究概要 |
まず,信号抽出位置の検討を行い,データベース化した.次に,骨導信号を前処理による音声明瞭度・認識率向上の検討を行った.これにより,システム的には骨導音専用の辞書セットを持つ必要がなく,音声用の辞書セットのみで後はフィルタの切り替えだけで骨導音に対応できるようになった. より高精度の骨導音によるインターフェイスを構築する為に現有の不特定話者音声モデルを話者(信号)適応処理にて入力信号である骨導音の特性に近づけて,骨導音をより認識しやすいモデルに変化させる検討を行い,騒音が音声の20dB以上の低SNR環境下でも実用レベルの認識性能を得ることに成功した.この検討によりそれらできあがった骨導モデルを認識システムに取り込み,より頑健な骨導音認識システムを構築した.次に認識システムにおける外乱に対する影響を検討もおこなった. 最後にシステムの無線化の影響調査とその対策および骨導再生システムの組み込みについて検討を行った.本研究では作業者の支援システムという見地から無線化が必須となる.そこで無線化した場合の影響について調査し,それに対する対策について検討した.従来型のトランシーバを用いた無線化では伝送路の伝達関数の影響として高域成分の情報が失われることも確認した.このため認識率は環境が静かな場合でも数%の認識率となった.そこで前年度提案した手法を用いて適応処理を施したが70%程度の認識率にとどまった.このため,LANによる手法について比較検討する事にした.無線LANの場合は音声帯域に重畳雑音が存在しないため,低SNR環境下でも95%程度の認識率の実現が可能であった.
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