研究概要 |
主に4種の産業廃棄物(ペーパスラッジ灰、アルミ灰,ガラス屑、港湾底泥)の中から混合焼結生成物を作製し、汚水水質浄化材としての適用性を検討した結果、以下のことが明らかになった。 1.ペーパスラッジ灰とガラス粉末を用いて混合焼結・アルカリ水熱処理して吸着性について評価したが、陽イオン交換容量値が合成・人エゼオライトに比べて1/10程で吸着性は不十分であった。 2.さらに2種類の無機系発泡剤(炭化ケイ素、炭酸ナトリウム)や活性炭を添加して焼成・アルカリ水熱処理して吸着性の向上を検討したが、期待するほどの効果が得られなかった。 3.これまで作製した各種の混合焼結物についてアルカリ水熱処理を行い、陽イオン交換容量やメチレンブルー吸着試験および摸擬汚水浄化試験により、NH_4^+,PO_4^<3->の吸着性が比較的良好な試料を選定した。 4.次の4試料について、本大学構内の貯水池、沼川の下水処理場放水口の2箇所に水面と水底に試料を設置して約1年間の野外試験を行った。 試料A:底泥,アルミ灰,ガラス粉末を混合焼結したもの 試料AZ:試料Aをアルカリ水熱処理したもの 試料AZF:試料AZに鉄分を付着したもの 試料BZ:PS灰,アルミ灰,ガラス粉末を混合焼結した後、アルカリ水熱処理したもの 定期的に試料を採取して吸着物や付着生物を観察・分析した結果、河川では試料AZ、AZFの吸着性(NH_4^+,NO_3^-)が高く、貯水池では特に水面に設置した試料AZの有機物の吸着が顕著であり繁藻程度と相関があった。吸着能力(汚水浄化性)順位は次のように推測される:AZ>AZF>BZ>A。 5.他の廃棄物として砕石汚泥と発泡ガラスについても検討した結果、発泡ガラスのアルカリ水熱処理物の吸着性が天然ゼオライトに匹敵する程あった。 6.今後、試料表面だけでなく内部まで吸着できるゼオライト化多孔質材料を開発する必要がある。
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