研究課題
基盤研究(C)
植物ホルモン・オーキシンの作用を阻害するアンチオーキシンPCIB(ρ-chlorophenoxyi sobutyric acid)に耐性のあるシロイヌナズナ変異体(aarDは、イオンビームにより取得された変異体で、2,4-D(2,4-dichlorophenoxyaceti Gacid)に対しても感受性が低い新規変異体である。本研究では、オーキシンシグナリング機構の一端を明らかにするため、aar-1変異体を分子遺伝学的に解析し、aarl-1変異体ゲノム第4染色体長腕T6G15領域にイオンビームによると思われる約44kbのゲノムDNAの欠失を発見した。さらに欠失領域のDNA断片をaar1-1変異体に導入する相補試験をおこない、At4913520遺伝子を含む断片を挿入した時に、aar1変異が相補されることを見出した。またRNAiでAt4913520の発現量を単独で低下させた形質転換体では2,4-DやPCIB耐性が獲得されることを確認した。At4913520遺伝子は、推定等電点3.3の低分子タンパク質(62アミノ酸、予測分子量6.9kDa)で動植物で高度に保存されている機能未知タンパク質を暗号化していることが明らかとなり、低分子酸性タンパク質1(small acidic protein1;SMAP1)と命名した。さらに、SMAP1タンパク質について解析し、SMAP1は核に局在するタンパク質で、C末端にあるSMAPファミリーでよく保存されているフェニルアラニンとアスパラギン酸が豊富な領域が、SMAPI活性と核への局在に重要であることを明らかにした。以上の結果から、動植物で高度に保存されている新規タンパク質を介したオーキシンシグナリング機構の存在が明らかとなった。
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The Plant Journal 47
ページ: 788-801
Plant Journal 47