研究概要 |
以下の3つの点を明らかにした。 1.C.neoformansの標準液体培養条件下における細胞周期の時間的側面を明らかにすることを目的として,指数増殖期における構成細胞の出現頻度,個々の細胞の定量的DNA測定,レーザー・スキャンニング・サイトメーター,タイムラプス法による解析を行った,その結果,指数増殖期におけるC.neoformansの倍化時間は,平均132分,G1,S, G2,M期のそれぞれの時間は,平均71分,18分,25分,18分と推定された。DNA合成は,出芽の前に開始され,芽の大きさが母細胞の1/4の時には終了していると思われた,これらのデータは,C.neoformansの細胞周期における紡錘極体の動態を調べる上での基礎をなす. 2.指数増殖期のクリプトコックス・ネオフォルマンス細胞を急速凍結し、オスミウム・アセトンで凍結置換した後、エポキシ樹脂に包埋し、連続超薄切片を作製した。3,500枚の電子顕微鏡写真を撮影し、紡錘極体の細胞周期における動態を解析した結果、以下のことが明らかになった。(1)間期の紡錘極体は、核膜の外側に位置し、ダンベル状を呈する。(2)核分裂の初期に、紡錘極体は膨潤して多くの細胞質微小管と会合する。(3)分裂中期に、核は娘細胞に移動する。紡錘極体は、多くの核微小管と会合し、円盤状を呈し、紡錘体極に位置する。核膜に一部は、この時期に消失する。(4)分裂後期に、核の半分は母細胞にもどる。(5)分裂終期に、紡錘極体は核膜の外側にもどり、球状を呈する。(6)紡錘極体の複製は細胞質分裂の比較的すぐあとに起こると考えられる。 3.間期の細胞の141個について計測した結果、紡錘極体と核小体のなす角度は、121±54度であり、紡錘極体は核小体から離れて位置することが明らかになった。また、出芽している94個の細胞について、芽の位置と紡錘極体の位置関係を計測した結果、両者のなす角度は、59±57度であり、出芽は紡錘極体と近い位置からおこることが推測された。
|