研究概要 |
この3年間で次の点が明らかとなった。全海洋域におけるタチウオ科タチウオ属魚類は,Trichiurus lepturusは、水産学上重要な魚種で、分類学的には多くの異論があったが、FAOのReviewにより全世界にNakamura and Parin(1993)によって1種とされた。その後も多くの異論がだされ、学名が混乱しているため国際間の漁業交渉では紛争の種となっている。申請者は、従来全く認知されていなかった小型類似種群タチウオ属魚類(全長700mm以下)の2新種を含む4種をまず幸晧し、従来知られる大型類似種群(全長1500mm上)には、形態学的に区別される10種を確認し、全海洋域におけるタチウオ科タチウオ属魚類の全種数と、その識別法および、正しい学名の検討を明らかにすることを務めた。初年度は,テンジクダチTrichiurus lepturusと同定されてきた標本を全世界の海域から生標本および固定標本を得るように全力を注ぎ、最も困難である西アフリカ、西部大西洋の生標本を手に入れることができたことにより、遺伝学的分析を行い、形態学的な違いと遺伝学的違いとが一致し、インド・西太平洋の種類と比較して、4種が遺伝学的にも強く別種である結果が得られた。その4種は以下の通りである。1,Trichiurus lepturus(western Atlantic type), 2,Trichiurus sp.2(yellow eye and yellow margin of dorsal fine membrane from Indo-Pacific), 3,Trichiurus japonicus(East Asian shelf type with long caudal fin), 4,Trichiurus sp.3(western African type with short pectoral fin)。
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