研究課題
基盤研究(C)
Topological mass spectrometry分析とはMALDI-TOF MSやquadrupole orthogonal acceleration time-of-flight (Q-TOF) MS分析とクローニング法を組み合わせて神経ペプチドを効率良くスクリーニングする方法である。本研究で我々はこの手法を用い、アメリカザリガニにおける水分調節に関わる神経ペプチドの同定を試みた。まず肛門呼吸を通じた水分調節に焦点を定め、肛門や後腸の動きを支配している神経細胞を含む第六腹部神経節の切片を作製し、direct MALDI-TOF MS分析を行った。結果、オルコキニン類や甲殻類SIFamide、タキキニン関連ペプチド、甲殻類心臓作用性ペプチド(CCAP)の存在が明らかになったが、他に未知物質の存在を示唆するデータが得られた。その内、分子量1270のものについては、分子量を指標とした精製を行い、Q-TOF MS/MS分析によって部分配列が(L/1)DHVF(L/1)RFamdeでありミオサプレッシン様ペプチド(MSLP)と示唆された。またMSLPとCCAPの前駆体クローニングにより、その周辺配列は夫々-KRQDLDHVFLRFGRSQ(Stop)及び-KRPFCNAFTGCGKKR-であると判明し、MSLPはpEDLDHVFLRFamideであると決定できた。さらにその神経節におけるin situ hybridization解析を行うことにより、後腸を直接支配しているposterior median cell clusterがオルコキニンのみならずMSLPも産生しており、CCAPはこれら細胞群の両脇に接している細胞で産生されていることが示唆された。次に、これら種々の神経ペプチドを合成し、肛門や腸管に対する作用及び肛門からの水分の取り込みについて検定した結果、それぞれが肛門や後腸、直腸の各部位に対して特異的な作用を示すことが判明し、水分の取り込みは複数のペプチドによる複合的な作用により支配されていることが示唆された。
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