研究課題
基盤研究(C)
本研究では、クルッペル型転写因子をコードするneptuneをアフリカツメガエル胚cDNAライブラリーから分離し、胚発生における機能を解析した。この因子を過剰発現させた胚には余分の尾部構造が誘導されること、またneptuneとengrailedとの融合遺伝子(en-neptune)を用いて内在性のNeptuneの機能を阻害したところ尾部を欠く胚が出現したことから、Neptuneは後方組織、特に尾部の形態形成に関わる因子であることが示された。Neptuneによる尾部の誘導がどのような条件で起こるかをさらに詳細に調べるため、様々な領域にこの遺伝子を注入し尾部の形成を観察した。neptune RNAを2細胞期の動物極に注入すると高頻度で尾部が形成されるのに対し、予定背腹いずれの赤道領域に注入しても尾部は形成されない。また動物極に注入後、アニマルキャップを切り出しても腹側帯域を切り出しても尾部は形成されなかったのに対し、注入後背側帯域を切り出したときには高頻度で尾部の形成がみられた。このことから、Neptuneが過剰に存在し、頭部オーガナイザーが存在していることが尾部の形成の条件であることがわかった。neptuneの発現部位が嚢胚期の予定腹側組織であることや、その領域は頭部オーガナイザーと相互作用することにより後方組織へと転換していくことを考え合わせると、Neptuneはゼブラフィッシュにおいて報告された尾部オーガナイザーの構成因子ではないかと想定された。さらに、この因子は神経胚の神経組織周縁部にも強い発現が見られることから、神経および神経冠形成における役割も推測され、GRコンストラクトを用いた過剰発現などの実験から、Neptuneは神経と神経冠、神経冠と表皮の境界形成に重要な役割を担っていることが示された。
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Dev. Dyn. 234・1
ページ: 63-73
Dev.Dyn. 234(1)
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J.Biol.Chem. 279・20
ページ: 21406-21414
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