研究課題/領域番号 |
16570196
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類学
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
平井 直樹 杏林大学, 医学部, 教授 (40086583)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 眼球運動 / 手 / 衝動性眼球運動 / 道具使用 / 視覚 / 体性感覚 / 到達運動 / サッカード / 視覚誘導性運動 / 記憶誘導性運動 / 視覚刺激 / 協調運動 |
研究概要 |
手で物を操作するとき、まず視覚情報で対象物を捕らえる眼球運動が起こり、そして手の運動が続く。初年度、ヒトの急速性眼球運動の開始時間が空間上の視標位置の違いによって影響を受けることを明らかにした。すなわち、8箇所の視標がランダムに点灯したときそれに目を向けるまでの潜時を計測したところ、方向依存的に潜時が異なった。この視標追跡の眼球運動の潜時の違いが手の運動の反応時間や到達正確性にどのように影響するかを2年目に解析することとした。 手の運動の記録方法を新たに設備し(LEDによる手の動きの記録、前・上・左・右方向からの映像記録)、サルを使って視標への目の運動と手の運動の協調作用の解析を行うこととした。今までに、手と目の共同運動については多くの解析が行われていることから、サルに道具を使用させ、そのときの手と目の共同運動について解析し、視覚情報の役割を考察した。道具として餌を摘むピンセットを使用させた。はじめは、予測に反し、対象である餌を目で視ずにただ手の運動だけ行った。学習が進むとピンセットを餌の近傍にまで持っていた後に眼球運動がおこり結果を視覚情報として確認し、手の運動の軌跡の修正が行われた。素手での物へ到達運動時と大きく異なった。さらに試行を重ねると、手と目の運動が同時に起こるようになった。この段階で運動が始まる時点で視覚情報を液晶シャッターで消失すると、手の運動は停止してしまった。すなわち、視覚依存性の運動に切り変った。さらに、訓練をつむと、視標が見えなくてもピンセットを餌のところに持っていく記憶誘導性の到達運動に切り替わった。 以上の結果は、手の到達運動の成立には、まず手からの体性感覚性の情報で軌跡の運動学習が行われ、その調節に視覚情報が関与しているため、必ずしも眼球運動が手に先行する必要がないと考える。今後、眼球と手の共同運動の発現神経機序の解明につなげたい。
|