配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
イネ穎果の登熟優先度決定に関しては遺伝的特性の違いが存在し,ササニシキとコシヒカリでは低source/sink比下で弱勢な穎果の初期成長が遅延し易く,登熟が悪化し易いが,アキニシキと92133(中国)では初期成長は遅延しにくく,登熟が悪化しにくい.そこで,この遺伝的特性の違いが生じる生理学的機構を明らかにすることを試みた.ササニシキとコシヒカリでは出穂後の遮光により弱勢な穎果の発達初期段階におけるアブシジン酸(ABA)レベルが低下したが,アキニシキと92133ではそのABAレベルは変化しなかった.穎果の初期成長とその内生サイトカイニンまたは糖レベルとの関係は見られなかった.外生ABAは弱勢な穎果の初期成長や登熟を促進することがすでに明らかにされている.よってイネ穎果における登熟優先度決定に関する遺伝的特性の違いはABAレベルの違いにより生じていることが明らかとなった. 一般にABAはエチレン発生を促すことが知られているが,穂へのABA処理ではエチレン発生は変化しなかった.また,種々のエチレン関連物質で穂からのエチレン発生を変化させても,穎果の初期成長は変化しなかった.よって,ABAはイネ穎果の初期成長を直接に促進していることがわかった. 登熟期の外生サイトカイニンも弱勢な穎果の初期成長を促進することが示されている.本研究では,外生サイトカイニンに加え,外生ABAと剪根も弱勢な穎果の初期成長を促進した.また,弱勢な穎果の内生サイトカイニンレベルは,出穂後の多肥により上昇し,剪根により減少した.一方,内生ABAレベルは初期成長が促進された外生サイトカイニン,外生ABAと剪根処理で増加し,ABAと初期成長間には密接な関係が認められた.よって,サイトカイニンは内生ABAレベルの上昇を通じて穎果の初期成長を促進することが明らかとなった.
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