研究概要 |
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)システムによるインドール酢酸の定量法を確立した。インドール酢酸の代謝は、キュウリで若い果実ほど速度が速いことを明らかにした。 木本植物でのインドール酢酸と樹性の生理の解明のため、徒長枝からの拡散性インドール酢酸を分析した。使用したのは日本ナシの豊水、あきづき、新水の3品種で、豊水>あきづき>新水の順に伸長が停止した。新水は頂芽優勢が強いため新梢生長が遅くまで続き、逆に豊水は弱いため早期に生長が停止し、花芽分化時期に差がでることが示唆された。新梢生長停止期までのインドール酢酸量は新水の方が豊水よりも高い傾向が見られた。新梢生長期における拡散性インドール酢酸量は,6月中旬に最も多くなり,その後急激に減少した。新梢生長が他の品種よりも継続した‘新水'の拡散性インドール酢酸量は、6月中旬以降、他の品種よりも多く推移する傾向であった。拡散性インドール酢酸の分析結果より、新梢生長停止期の6月中旬頃の各品種の拡散性インドール酢酸量が、経験則により示されている品種分類表とほぼ一致したことから、この時期に拡散性インドール酢酸を定量することで樹勢を評価できることが示唆された。 チュウリップの鱗茎の花茎を材料として、茎の伸長と拡散性のインドール酢酸の関係を調べた。花茎の急速に伸長時の拡散性のインドール酢酸量は茎、花器官、葉の順番であった。これらの結果より、花の下方の節間が、拡散性のインドール酢酸の主要な合成部位で、急速な花茎の伸長を制御している可能性を示唆した。
|