研究概要 |
(a)4倍体台木によるワインブドウ栽培の省力化と果実品質向上効果 1)ブドウ台木(Gloire,5BB,3309)とそれぞれのの4倍体に接ぎ木した‘Cabernet Sauvignon'において,4倍体台木は穂木品種の伸長生長および樹幹肥大を顕著に抑制し,管理の容易な適度な新梢伸長程度を示した.着果率は台木による差異が認められなかったが,着果量は4倍体台木で少なかった.試験醸造の結果,4倍体台木において色調の深いワインが得られた. 2)台木が水分生理に与える影響について‘巨峰'樹を用いて調査を行ったところ,4倍体台木では開花期以前から収穫後まで継続的に2倍体台木より枝の水ポテンシャルが低くなるとともに,果実成熟期の果皮中アブシジン酸濃度の顕著な上昇が認められた。 (b)低投入栽培ワインブドウにおけるarbuscular菌根菌(AMF)接種源としてのカバークロップの効果 1)滅菌した黒ボク土に無菌のブドウ台木を移植し無肥料で育成した。AMF接種区では健全に生育したが,無接種区では1か月後には生育が停止した。ブドウとナギナタガヤを20μmナイロンメッシュで根系を分離し共存させたポットにおいて、重窒素を一方の葉に施用したところ、AMF菌糸を介してのブドウ-ナギナタガヤ間の窒素成分の移動が観察された。 2)黒ボク土壌のワインブドウ園において数種のカバークロップを比較したところ,ブドウ根におけるAMF感染率はナギナタガヤにおいて比較的感染率が高くなった。次にカバークロップとしてナギナタガヤを植栽した区と黒色不織布マルチにより無植生とする区を設けたところ、カバークロップ区でナギナタガヤの生育の旺盛な春季にAMFの土壌中の胞子数およびブドウ根への感染率ともに高くなる傾向があった.また,緑肥用ヒマワリ植栽した新植予定地において,AMF資材処理土壌をナギナタガヤ残渣で被覆することで土壌中のAMF胞子密度の増加することが示された.
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