研究概要 |
クチクラ蛋白質遺伝子(CPG)の存在するBACクローンのシークエンスを行い、BMWCP2,3,4,5が位置していることが確認できた。また、新たなCPGを見いだし、既存のものとの発現時期、ホルモン応答性を調べ、カイコの翅原基で5齢期に発現するCPGには5つのグループが存在することを明らかにした。 カイコのCPGの発現制御領域を調べるために、BMWCP2,4の上流域約2キロをレポーター検定用のプラスミドにクローニングした。初めに培養細胞を用いてホルモン応答能のある細胞株を同定し、培養細胞にレポーター遺伝子を有するプラスミドが導入されることを確認した。次に、時期特異性を有する翅原基組織で遺伝子銃を用いて検定を行い、培養翅原基でレポーターアッセイのシステムを確立した。エクダイソンパルスで誘導される遺伝子の上流域をクローニングし、翅原基の培養系を用いてプロモーターアッセイの系を確立し、エクダイソンパルスに応答する配列を追跡した。遣伝子銃によるカイコの翅原基、翅組織への遺伝子の導入法を、器官の時期、培養条件について検討した。導入の確認にはGFPを用いた。さらに、遺伝子の上流部に突然変異を起こさせ、ゲルシフト法により応答配列の確認を行った。培養翅原基への遺伝子導入を確認後、翅組織にCPG(BMWCP2)の上流領域を含むプラスミド、あるいはその一部を削除したプラスミドを打ち込み、ルシフェラーゼアッセイを行った。この方法で翅組織での短時間の造伝子導入に成功し,ホルモンに反応しCPGの発現を制御する領域を調べる事が可能となった。BMWCP2の上流域の切除、FTZ-F1結合部位への突然変異、ゲルシフトの結果からBMWCP2の遺伝子発現はエクダイソンパルスに応答するFTZ-F1に誘導される事が確かめられた。本研究で得られた結果により,CPGの発現誘導に関わる転写因子とその結合部位を明らかにできた。
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