研究課題/領域番号 |
16580094
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・生物有機化学
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研究機関 | 九州共立大学 |
研究代表者 |
島田 淳巳 九州共立大学, 工学部, 助教授 (80289347)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 花器官分化 / 植物ホルモン / グリホサート / aspterric acid / 含リン化合物 / RNA / IAA |
研究概要 |
花器官分化調節物質の開発、花器官分化に関係する代謝と花器官分化に対する植物ホルモンの役割について知見を得るため、本研究を実施したので、その概要を報告する。 1、微生物由来の花器官分化調節物質の探索 放線菌(Streptomyces hygroscopicus)をphaseolotoxin培地で培養し、培養ロ液から酸性ブタノール抽出物を得た。得られた抽出物は、各種クロマトグラフィーを用い精製し、目的とする含リン化合物と含リンアミノ酸をそれぞれ1種類単離した。単離した2種類の化合物を用いシロイヌナズナ生育試験を行ったところ、含リン化合物に生殖生長期における生育遅延と草丈の伸長抑制を示した。 2、花の相称性に対する含リンアミノ酸の役割 グリホサートをペチュニアに高濃度(1mM以上)で処理すると、葉が黄化し花芽形成が阻害される。一方、低濃度処理(0.1mM〜0.5mM)では、花の形が放射相称から左右相称へ変化することが観察される。この原因を明らかにするため、花弁の成分分析を行ったところ、アミノ酸とタンパク質含量、および芳香族アミノ酸の生合成と代謝には影響が見られないが、RNA生合成の抑制が認められた。さらに、RNAを構成するuridineの類縁ヌクレオシドである2',3'-dideoxyuridineをペチュニアに処理したところ、グリホサート同様、花形に対し影響を示した。以上の結果から、花の形の変化は、グリホサートの一次作用点であるEPSP合成酵素の阻害および芳香族アミノ酸の生合成と代謝系によるものではなく、RNAまたはRNA関連タンパク質による可能性が高いと推察される。 3、花器官分化に対する植物ホルモンの役割 糸状菌Aspergillus terreusの生産するシロイヌナズナ花粉形成阻害物質aspterric acid(AA)とオーキシンであるIAAとの相互作用の研究から、IAAはAAによる花粉形成阻害を抑制し花粉形成が回復することを見出した。また、AA処理したシロイヌナズナのIAA含量は未処理のものと変わらず、オーキンン極性輸送阻害剤であるNPAとも生理作用が異なる。そのため、AAの作用機作は生殖生長におけるIAAの生合成阻害や輸送阻害ではなく、花粉形成に重要な役割を持つタンパク質に対するIAAとの競争阻害により花粉形成が阻害されると推察される。
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