研究課題
基盤研究(C)
血清中などに見出されるセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)において、組織への沈着や重篤な遺伝的分子異常の原因となるコンフォメーション変化;ループ挿入を制御抑制することを目的とし、その中間状態の解析を試みた。研究対象として、セルピン・スーパーファミリーに分類されるものの、阻害活性を持たない卵白タンパク質;オボアルブミンに着目し、そのループ挿入を検出する実験系を探索した。従来はベイト・リージョンを切断するターゲット・プロテアーゼの他にループ挿入に関与する部分で切断するプロテアーゼを用いて、ループ挿入前後のコンフォメーションの違いを、限定加水分解により解析していたが、操作が煩雑で、定量誤差も大きかったため、より簡便で高精度の実験法が必要であった。本研究において、ループ挿入に伴うコンフォメーション変化により、イオン交換クロマトグラフィーにおける溶出位置が変化することを見出し、これを指標にループ挿入の定量的解析が可能となった。本法を用いて、ループ挿入型オボアルブミン変異体R339T/A352Rのループ挿入を解析したところ、限定加水分解を用いた解析法に比べ、著しく誤差は小さく、得られた一次反応速度定数は、従来法と同等であった。更にR339T/A352Rに付加的に部位特異的置換を加えた変異体について、pH、温度を変えてループ挿入速度を解析した結果、各変異体とも、pH依存性を示し、その変曲点はpH4.6付近であった。中性付近でのループ挿入速度を向上させる目的でpH依存性を解消する変異体の作成を試みたが、1残基づつの置換導入では、pH依存性を解消するには至らなかった。今後の展開として、本タンパク質が酸性領域でモルテングロビュール構造を取ることを考慮し、分子の構造安定性とループ挿入の相関関係を解析することで、ループ挿入の中間状態と分子重合機構の連関を見出すことができると考えている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 69・5
ページ: 922-931
130000030322
Journal of Molecular Biology 348・2
ページ: 409-418
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 69(5)
Journal of Molecular Biology 348(2)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (発表予定)
Journal of Molecular Biology (発表予定)