研究概要 |
1.多摩川上流から下流域にかけて森林土壌を調べ、都市化の進行に伴い、土壌の交換性塩基濃度が増加し、その結果として酸性が中和される傾向にあった。 2.狭山丘陵の里山二次林において、土壌窒素条件について調べた。頂部斜面ではアンモニア態・硝酸態とも窒素濃度の割合が高く、谷壁斜面はアンモニア態の割合が高く、谷頭凹地では硝酸態の割合が高かった。伐採によって土壌への有機物供給が減少し無機化速度が低下する一方,硝化率は増加していたが,硝酸の流亡および好硝酸性植物の増加によって土壌中の無機態窒素量は減少していた。 3.狭山丘陵二次林299箇所の下層植物相は7つのタイプに分類されたが、一次的区分は伐採区とそれ以外の放置区・下刈区に分けられ、それらの区分はさらに微地形によって分割された。草本層植物種数はアズマネザサが下層を優占する谷頭凹地放置区とヒサカキが下層を優占する斜面放置区で最も少なかった。 4.狭山丘陵において3年間、キノコの発生調査を行った。菌根菌の発生は斜面で多く、谷頭凹地で少なかった。菌根菌のうちテングタケ科とイグチ科の発生はとくに斜面に多く、ベニタケ科は斜面と谷頭凹地の両方で見られた。斜面では、菌根性樹種が相対的に減少した伐採区で菌根菌の発生が減少した。落ち葉かき処理を2年間継続して行い、腐生菌の発生は落ち葉かきによって抑制された。 5.アズマネザサが下層に優占する半日陰地と樹林内で下刈り,落ち葉掻き管理を3年間行い,土壌中の無機態窒素量とアズマネザサ現存量の変化を調べた。下刈りの結果,半日陰地・林内ともに地上部の現存量は減少した。地下部現存量は落ち葉掻きによって減少した。半日陰地の表層土壌の全窒素含有率と無機態窒素量は下刈りおよび落ち葉掻きで低下した。樹林地では,アンモニア態窒素量の変化は無かったが,硝酸態窒素量が下刈りおよび落ち葉掻きで低下した。
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