| 研究概要 |
木材の引抜き型ボルト接合において,座金のめり込み抵抗は接合部の耐力に大きく影響する。従って,ボルト接合の設計に際しては、適正寸法を持つ座金の選択も課題の一つになると思われる。そのためには、先ず木材上座金のめり込み挙動を把握する必要があり,本報告では剛体ばねモデル(RBSM)を用いて、数値解析立場から検討を行うことにした。
木材上の板を弾性床上の板とみなせば、これは、分布されたばね上の板曲げ要素の集合体で表すことができる。RBSMでは各要素に剛体変位場を仮定するので、分布ばねに関する床反力を、要素重心に作用する反力に置き換え、これを考慮した板の曲げに関する剛性方程式を求めた。さらに、降伏関数を導入し、荷重増分法を適絹することにより,座金の弾塑性曲げ解析プログラムの開発を行った。一方、床ばねを得るには座金の面圧定数が必要であり、有効余長輻の概念を取り入れて、それを求める手法を確立した。
プログラムの検証を行うため、木材上座金の曲げ試験を行った。試験は,3種類の幅、3種類の厚さを持つ計9種類の角座金であり,荷重-めり込み関係についての計算値は、実測値に比較的良く適合し、本解析プログラムの妥当性を確認した。また、座金の許容面圧荷重に及ぼす辺長比(座金幅/厚さ)、及び面圧定数の影響について,シュミレーション解析を行い,次のようなことが分かった。辺長比には臨界辺長比(r_<ac>)があり、それより大きい辺長比では厚さの増につれ許容面圧荷重は増す。しかし辺長比がr_<ac>より小さい領域では、厚さが増しても許容面圧荷重は殆ど変化せず、ほぼ一定値をとる。
面圧定数の影響については、それが大きくなるにつれ許容面圧荷重も大きくなるが、臨界辺長比は小さくなる傾向がみられる。
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