研究課題/領域番号 |
16580132
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河本 晴雄 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80224864)
|
研究分担者 |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | バイオマス / セルロース / 熱分解 / 熱分解制御 / 低分子有用ケミカルス / 分子機構 / 持続可能社会 / 再生可能資源 / 低分子ケミカルス / 反応機構 / 持続型社会 |
研究概要 |
セルロース系バイオマスは、地球上に最も多量に存在するバイオマス資源である。そのエネルギー源および化学原料としての利用方法を確立することは、将来の持続可能な社会の構築において極めて重要である。このような背景から、本研究課題では、熱分解制御によるセルロース系バイオマスからの低分子有用ケミカルスの生産に関する基礎研究を行い、以下の成果を得た。 セルロース系バイオマスの熱分解は、従来の炭化、乾留技術が示すように、一般的に気、液、固体を含む複雑な生成物を与える。従って、これらの生成物よりある特定の低分子有用ケミカルスを分離することは極めて困難であり、経済的にも魅力ある方法ではない。研究代表者らは、生成物の選択性を飛躍的に向上させることを目的に、熱分解機構(特に、気、液、固体の生成機構)を分子レベルで明らかにし、それらを制御する方法論を提案する研究を行っている。この過程で、セルロースについては、一次熱分解物であるレボグルコサン(モノマー)の重合反応を抑制することで、セルロースは炭(固体生成物)を与えることなく選択的に低分子物へと変換されることを明らかにしている。具体的には、レボグルコサンを可溶化する溶媒(スルホラン)中でセルロースを熱分解することで選択的な低分子化が可能である。そこで、さらに低分子化生成物の組成を制御する目的で、触媒を添加した系でのセルロースの熱分解について検討した。その結果、硫酸、ポリリン酸を添加した系で、レボグルコセノン(最大42%)、フルフラール類(最大36%)が選択的に得られることが明らかになった。また、詳細な反応機構を明らかにすることで、熱分解系に存在する水の量を制御することにより、これら両者の選択性を自在に制御することができることが見出された。 セルロースおよび生成物の熱分解反応を大幅に制御するような試薬、反応系は、セルロースの選択的な低分子有用ケミカルスへの変換において重要である。このような新しい熱分解制御系として、ホウ酸、芳香族化合物が見出された。すなわち、ホウ酸を添加することで、配向セルロース分子集合体の表面分子(セルロースの熱分解反応が開始される分子)の熱安定性を著しく向上させることが見出された。また、芳香族化合物は、生成物である低分子の糖類の熱安定性を著しく向上させることが見出された。 これらの成果は、熱分解制御によるセルロース系バイオマスからの低分子有用ケミカルスの生産において重要な示唆を与えるものと期待される。
|