研究課題/領域番号 |
16580143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 浩一 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (70111268)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 二枚貝類 / 食物供給機構 / 海底近傍層 / 微細藻類組成 / 安定同位体比 / 脂肪酸組成 / 粒状有機物 / 一次生産系 / 炭素・窒素安定同位体比 |
研究概要 |
食物供給機構を解明することは、生物生産の仕組みを解明し、環境収容力を推定する上で最も重要な事項の一つである。福島県相馬市地先海域のホッキガイ漁場の生産系については、生ホッキガイを含む埋在性二枚貝類のほとんど全ての種が、その食物供給を海底の上方数cmまでの海底近傍の限られた範囲に依存していること、2.この食物供給層には水柱の上方層で増殖した浮遊性微細藻類が混ざり込むことが少なく、その結果、二枚貝類が水柱中の一次生産を直接摂食することは稀であること、3.沿岸浅海域の砂質域においては、このような食物供給機構が極めて普遍的であること、などが明らかになった。これは、海底近傍の一次生産系が底生動物群集の食物供給源として極めて大きな比重を占めており、底生動物群集の生物生産や環境収容力を強く規定する要因になっていることを示している。 海底近傍層における一次生産系の特性については、次の点が明らかになった。すなわち、浮遊性微細藻類が主体の水柱の上・中層では季節的に優占種群が次々に入れ替わり、生息密度の変動も約100倍と極めて大きいのに対して、食物供給層を形成する海底近傍層は、水柱の上・中層と異なり、優占種群の季節的交替は小さく、さらに分布密度の変動も10〜15倍程度と小さい。このような質的にも量的にも変動が小さいという特性が、食物供給源としての安定性を担保しているものと考えられる。 本研究で得られた知見は、埋在性二枚貝類の食物供給が、水柱の上方層で生産された植物プランクトンが沈降して主たる食物源を形成するという、従来の漠然とした考え方とは異なることを示し、食物供給量を推定する場合に対象とすべき空間範囲(食物供給層)を明確にした。また、胃内容物組成、安定同位体比分析、脂肪酸組成分析から、底生性微細藻類とそれ由来のデトライタスが有効な食物であることが明らかになった。
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