研究概要 |
まず,大きさが1mmと小さい動物プランクトンの採餌行動,およびそれにともなうプランクトン周辺の流れの可視化を実現するため,高速度ビデオ撮影による観察装置の組立と基礎的実験を実施した。 観察装置は,フォトロン社高速度ビデオカメラFirstCamにズームレンズ(Sonic社のBSL-Z50HD=50-320倍)をとりつけ,スタンドで水平に保持し,メタルハライドランプコールドライト光源(日本ピーアイ社PCS-UMX250)から照明を光ファイバライトガイドで導き,アクリルチャンバの背後から照射し,角度を調節して暗視野照明とした。試行錯誤の繰り返しの結果,暗視野照明の微妙な調節により,付属肢の高速の動きを速いシャッター速度(1/10,000秒)でも記録可能となった。 この技術を用いて,海産カイアシ類および淡水産ミジンコ類などを用いて実験を実施した結果,採餌流を導く原動力となる付属肢の動きは10Hzないし200Hzと,通常のビデオ装置では分析できない高速度であるが,毎秒250ないし500コマ以上の高速度ビデオカメラを駆使することで記録,解析が可能であることが確認された。ミジンコ類では,毒性のある粒子を投与したところ,付属肢の動きに変化は見られなかったが,大顎の動きを停止したことから,餌粒子の捕捉はしても摂餌を止めてしまうことが示唆された。カイアシ類については,今年度に確立した撮影技術をもちいて,有毒プランクトンを与えた場合にどのような反応を取るかを観察する予定である。
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