研究概要 |
1.サクラマス脳内におけるメラトニン受容体の分布をin vitroオートラジオグラフィー法で調べた結果,視索前野,視蓋,pretectal areaおよび下垂体に検出された. 2.自然条件下のサクラマス脳内メラトニン受容体の親和性と密度は日周リズムを示す,これが生物時計により支配されたものか否かを解明するために,短日,長日,恒暗および恒明条件下での脳内メラトニン受容体の変化をラジオレセプターアッセイ(RRA)法で調べた.その結果,短日・長日条件下では明暗に伴う変化がないこと,および,恒暗・恒明条件下においてサーカディアンリズムを呈さないことがわかった. 3.短日処理によりサクラマス0年魚早熟雄のsGnRH遺伝子の発現が亢進し性成熟が促進する.そこで,性成熟の促進とメラトニン受容体との関連を調べたところ,両者には関連がないことが示唆された. 4.サクラマス脳・網膜からtotal RNAを抽出し,縮重プライマーを用いたPCR法で,MEL1aサブタイプメラトニン受容体をコードするcDNA断片の塩基配列を決定した. 5.4で得られた塩基配列から合成オリゴプローブを作製し,in situハイブリダイゼーション法でサクラマスの脳における遺伝子発現部位を調べたところ,1と同じ領域で発現していた. 6.サクラマス早熟雄の視床下部スライスにメラトニン1μMを添加するとsGnRH放出量が増加する傾向があった. 7.サクラマス早熟雄下垂体の器官培養系において,sGnRH 1μMとメラトニン10nMの同時処理でGTH放出量が増加した.ヒメマス下垂体の細胞培養でも同様の結果が得られた. 8.脳以外の組織におけるメラトニン受容体の分布をRRA法で調べた結果,眼球と生殖腺にメラトニン受容体の存在が示唆された.
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