研究課題
基盤研究(C)
二枚貝類組織より抽出したコラーゲンをペプシン処理に供すると、多くの種について特定のα鎖の相対的減少が起こるなど、顕著な電気泳動パターンの変化を生じる。本研究では、ペプシン処理による構造変化の機序を解明するための基礎的情報を集積することを目的として、プロテアーゼによる分解を受けていないインタクトな構造を保持したコラーゲンの抽出法を確立するとともに、得られたインタクトコラーゲンおよびその構成サブユニットの性状解析を試みた。数種二枚貝類組織より得たアルカリ抽出残渣(RS-AL)について、塩酸グアニジン処理を行うことによってインタクトな構造を保持したコラーゲン(塩酸グアニジン可溶性コラーゲン、3SC)が得られることが分かった。RS-ALについて解繊処理を予め行うことによってその後の塩酸グアニジン処理における可溶化率が若干上昇することも判明した。コラーゲンに対するペプシン処理による影響が比較的小さいマガキを材料として、その外套膜よりペプシン可溶化コラーゲンを調製し、それに含まれるマガキ主要コラーゲンのサブユニット組成を調べた。主要コラーゲンを構成する2種のα鎖のアミノ酸分析結果から、本主要コラーゲンが(α1)_2α2のサブユニット組成を有するヘテロトリマーであることが示唆された。数種二枚貝類外套膜より調製したGSCについて、各構成α鎖のN末端アミノ酸配列分析を行ったところ、いずれの種についてもN末端は閉鎖されておらず、Asp-Glu-という特異なN末端を持つ場合が多いという興味深い事実が判明した。また、GSCを構成する特定のα鎖(暫定的にα2鎖とする)の内部アミノ酸配列を解析したところ、[-Gly-X-Y-]とは異なる配列(非トリプレット)を検出した。この結果は、当該α鎖三重らせんドメインにプロテアーゼ感受性領域が存在することを示唆するものである。さらに、GSCについて変性条件下にて陽イオン交換クロマトグラフィーを行ったところ、GSCは遺伝的に異なる3種類のα鎖を含むことが明らかとなった。現在、これらを完全精製してさらなる構造解析を進めている。
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Fisheries Science 71・1
ページ: 229-235
10013814270
Proceedings of the tenth international symposium on the efficient application and preservation of marine biological resources with a special session on the 2012 Yeosu world expo.
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Fisheries Science 71
Proceedings of the tenth international symposium on the efficient application and preservation of marine biological resources with a special session on the 2012 Yeosu world expo
Food Chemistry 87・1
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Food Chemistry 87
Fisheries Science