研究概要 |
1)Pgp発現細胞への同タンパク質発現の増強。 (1)Pgp発現細胞への基質特異的Pgp高発現細胞の作成:ヒト口腔がん由来細胞KB-3あるいはブタ腎由来細胞LLC-PK1にヒト野生型およびHis61変異PgpをコードするMDR1遺伝子を導入した細胞から、薬剤選択により基質特異性を高めたPgp発現細胞をクローニングした。(2)イヌ腫瘍細胞からPgp高発現細胞の選択:Pgp高発現腫瘍細胞は分子量400のコルヒチンにより選択し多剤耐性を獲得した細胞の耐性度の異なるいくつかのアイソフォームを作成した。 2)Pgp膜標品の調製 (1)上記のPgp高発現細胞からPgp標品を調整した。犬でのPgpをコードする遺伝子をクローニングし、発現ベクターによる解析を検討中であった。 3)各膜分画のATPase活性測定 (1)Pgp-ATPase活性測定:ATP regenerating systemによるATPase活性測定法を用いて膜標品のATPase活性を測定した。Na, K-ATPase活性を阻害剤である0.1mMウワバインにより、Ca-ATPase活性をCaキレーターである1mM EGTA添加により不活性化し、さらにPgp-ATPase活性であることの確認のため、Pgp活性促進作用のあるベラパミルを添加しPgp-ATPase活性亢進を確認した。 4)ダイオキシンおよびCo-PCBsによるPgp-ATPase活性への影響 (1)Pgp-ATPase活性阻害:上記で確立したPgp-ATPase活性測定系に、陽性阻害薬物であるシクロスポリンAなどとともに、各濃度のダイオキシン(2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin,ほか)あるいはCo-PCBs(3,3'4,4'5-pentachlorobiphenyl, PCB-126)を添加し、本ATPase活性阻害を測定したところ、若干のATPase活性阻害がダイオキシンおよびPCB-126に認められた。 5)昆虫細胞へのMDR1遺伝子導入実験の準備 (1)昆虫細胞を用いたPgpをコードするMDR1遺伝子導入細胞の培養法を確立し、高度発現細胞からのPgpの標品精製法を確立した。現在この標品を用いたATPase活性実験を検討中であった。
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