研究概要 |
報告者は既に,ニッケル触媒と塩化亜鉛が共存する系において,α,β-共役エノンとエンイン化合物との反応より環状化合物が生成することを見出している.この反応はニッケル触媒と塩化亜鉛の存在下において,エノンおよびエンインのアルキン部位との反応からアルケニルニッケル中間体を生成した後,引き続いてアルケン部位が挿入したものと推測された.これらの知見をもとに,このエンインに適当な長さの炭素鎖を挟んだアルケン部をさらに導入したジエンインを反応基質とすれば,このアルケン部がさらに反応に関与するドミノプロセスが達成できると考えた.実際シクロアルケンの二つのアリル位にそれぞれアルキン部位とアルケン部位をつないだジエンインを反応基質として検討した結果,エノンとアルキン部位の連結の後シクロアルケン部位との連結,引き続く置換アルケン部位との連結の後,β-水素脱離により反応が終結するドミノプロセスを達成することができた.
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