研究課題
基盤研究(C)
活性酸素のようなフリーラジカルは生体内で常に生成され、放射線や紫外線などの外的要因や、様々な内的要因によっても生成する。通常は、生体の制御システムによりそれらが消去されるが、消去が不充分だと種々の疾患が生じる。本研究では、種々のフリーラジカルの消去化合物を探索した。消去能はDMPOを用いるESR-スピントラッピング法などで評価した。また致死量の放射線に対する防護能を調べるためマウスに7-8Gyの放射線を照射して30日間の生存率を調べ防護能を調べた。今回用いた抗酸化剤は、カテキンのようなポリフェノール誘導体や、ビタミンEやTMGのようなフェノール性化合物、システアミンやセレノメチオニンのようなチオール其を有する化合物である。スーパーオキシド消去活性ではTMGやカテキン類に強い消去作用が見られ、ヒドロキシルラジカル消去活性に関しては、TMGは、トロロックスより10倍強い消去能が認められた。フェノール性水酸基を持つ天然抗酸化物質のラジカル消去機構を調べ、カテキンはフリーラジカルへの電子移動を経由し、ビタミンEモデルでは、1段階の水素原子移動機構で進行することがわかった。活性酸素やフリーラジカルを消去して放射線防護作用を示すニトロキシルラジカルのペルオキシルラジカル消去機構を検討し、消去機構はペルオキシルラジカルからニトロキシルラジカルへの電子移動を経由することがわかった。このようにして得られた反応機構情報に基づき、平面型カテキン誘導体を合成した。電子供与性のアルキル基の導入は、電子移動の結果生成するカテキンラジカルカチオンを安定化するため、ラジカル消去反応が顕著に加速されると考えられる。実際、得られた平面型カテキン誘導体のフリーラジカル消去活性は、天然型カテキンに比べ5-10倍高かった。放射線防護薬剤としてニトロキシド類(MC-, HM-PROXYL)、エダラボン、水溶性ビタミンEのTMG、ミネラル含有熱処理酵母、γ-トコフェロール-N,N-ジメチルグリシンエステル塩酸塩を用い、マウスのX線全身照射に対し、防護剤を腹腔内に投与し、30日間生存率を指標としてその防護能を評価した。その結果MC-PROXYL(450mg/kg、DRF=1.2)、エダラボン(450mg/kg、DRF=1.3)に照射前投与において顕著な防護効果があった。しかし、照射後投与においてはこれらの防護剤に有効性は見られなかった。TMG、および亜鉛、銅、セレン等の抗酸化ミネラル含有熱処理酵母、ならびに□-トコフェロール-N,N-ジメチルグリシンエステル塩酸塩は照射後投与においても効果があった。TMGは、650mg/Kg腹腔内照射直後投与の場合のDRFは1.2であった。亜鉛含有酵母を照射(7.5Gy)直後投与(腹腔内100mg/kg)すると、30日生存率は90%以上であり、スーパーオキシド消去活性は亜鉛含有酵母が最も高かった。スーパーオキシド消去活性が高い酵母が高い防御効果を示し、被ばくにより生じる酸化的ストレスの制御が重要と考えられる。γ-トコフェロール-N,N-ジメチルグリシンエステル塩酸塩を照射直後に投与100mg/Kgすると、30日生存率は98%であり、皮下注射においても効果があった。照射後投与で防護活性を示し、骨髄死の線量で有効なことから免疫活性の賦活化が考えられる。
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