重金属毒性軽減因子としてのチオレドキシン還元酵素の機能解析

• 研究課題/領域番号: 16590093
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 環境系薬学
• 研究機関: 昭和大学 (2005); 北里大学 (2004)
• 研究代表者: 原 俊太郎 昭和大学, 薬学部, 助教授 (50222229)
• 研究期間 (年度): 2004 – 2005
• 研究課題ステータス: 完了 (2005年度)
• 配分額: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円); 2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円); 2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
• キーワード: チオレドキシン還元酵素 / 重金属 / カドミウム / NF-E2-Related Factor-2 / 抗酸化酵素 / siRNA / ヒ素 / 低酸素応答性転写因子 / 貴金属 / 血管内皮細胞 / 遺伝子発現 / Nrf2

研究概要

細胞内レドックス状態を制御するチオレドキシン還元酵素(TrxR)には、3種類のアイソザイム、TrxR1、TrxR2、TrxR3が存在するが、このうちTrxR1は重金属をはじめ様々な刺激によりその発現が誘導されることが知られている。本研究では、TrxRの重金属毒性軽減因子としての機能を明らかにする目的で、まず、重金属によるTrxR1遺伝子の発現誘導機構について解析を行った。その結果、カドミウム(Cd)やヒ素(As)により活性化された転写因子NF-E2-related factor-2(Nrf2)が、TrxR1遺伝子上流-62〜-48に存在する抗酸化剤応答配列antioxidant responsive element(ARE)を介し、TrxR1の遺伝子発現を誘導することが明らかになった。Nrf2はTrxRの基質であるチオレドキシン(Trx)の遺伝子発現誘導も調節することが知られており、細胞内Trxシステム制御において極めて重要な役割を担うと考えられる。次に、HeLa細胞において、TrxR1をsiRNAを用いることにょりノックダウンした細胞株を作製し、TrxR1の発現低下が重金属に対する防御にどのような影響を及ぼすかについて検討した。その結果、HeLa細胞において、TrxR1は低濃度のCdやAsに対してはその抗酸化作用を介して毒性軽減的に働くが、CdやAsの濃度が高くなり細胞の傷害が進んだ場合には逆に細胞死を促進するという、二相性の機能を持ち合わせている可能性が示された。傷害が進んだ細胞を死に至らしめ排除することも生体全体としては重要な生体防御機構であり、TrxR1は重金属の曝露濃度すなわち重金属による傷害の程度に応じて細胞の生死の方向性を決める重要な因子であることが予想される。

研究成果

• [雑誌論文] Short-interfering RNA-mediated Silencing of Thioredoxin Reductase 1 Alters the Sensitivity of HeLa Cells toward Cadmium (2006)
  • 著者名/発表者名: 西本 理恵 ほか
  • 雑誌名: Biological and Pharmaceutical Bulletin 29・3 ページ: 543-546
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] Short-interfering RNA-mediated Silencing of Thioredoxin Reductase 1 Alters the Sensitivity of HeLa Cells toward Cadmium (2006)
  • 著者名/発表者名: Nishimoto, M., Sakaue, M., Hara, S.
  • 雑誌名: Biological and Pharmaceutical Bulletin 29(3) ページ: 543-546
  • NAID: 110005602140
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Short-Interfering RNA-Mediated Silencing of Thioredoxin Reductase 1 Alters the Sensitivity of HeLa Cells toward Cadmium (2006)
  • 著者名/発表者名: 西本理恵ほか
  • 雑誌名: Biological Pharmaceutical Bulletin 29・3(印刷中)
• [雑誌論文] Transcriptional Regulation of Thioredoxin Reductase 1 Expression by Cadmium in Vascular Endothelial Cells : Role of NF-E2-Related Factor-2 (2005)
  • 著者名/発表者名: 櫻井 貴子 ほか
  • 雑誌名: Journal of Cellular Physiology 203・3 ページ: 529-537
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] Transcriptional Regulation of Thioredoxin Reductase 1 Expression by Cadmium in vascular Endothelial Cells : Role of NF-E2-Related Factor-2 (2005)
  • 著者名/発表者名: Sakurai, A., Nishimoto, M., Himeno, S., Imura, N., Tsujimoto, M., Kunimoto, M., Hara, S.
  • 雑誌名: Journal of Cellular Physiology 203(3) ページ: 529-537
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Transcriptional Regulation of Thioredoxin Reductase 1 Expression by Cadmium in Vascular Endothelial Cells (2005)
  • 著者名/発表者名: 櫻井貴子ほか
  • 雑誌名: Journal of Cellular Physiology 203・3 ページ: 529-537
• [雑誌論文] Transcriptional Regulation of Thioredoxin Reductase 1 Expression by Cadmium in vascular Endothelial Cells (2005)
  • 著者名/発表者名: 櫻井 貴子 ほか
  • 雑誌名: Journal of Cellular Physiology (印刷中)