研究課題/領域番号 |
16590106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 千葉科学大学 (2005) 千葉大学 (2004) |
研究代表者 |
桝渕 泰宏 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (10209455)
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研究分担者 |
堀江 利治 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90120154)
伊藤 晃成 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助手 (30323405)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 薬剤性肝障害 / ミトコンドリア / ミトコンドリア透過性遷移 / 糖尿病治療薬 / トログリタゾン / チアゾリジンジオン / シクロスポリンA / 特異体質性肝障害 / アセトアミノフェン / 酸化ストレス / グルタチオン / シトクロムc |
研究概要 |
ミトコンドリア透過性遷移(MPT)はCa^<2+>濃度依存的に膜透過性を変化させる現象であり、膜電位の低下、ミトコンドリアの腫脹、マトリックスタンパク質の漏出を伴うことから、薬剤が誘発する肝障害においてもその関与が指摘されている。本研究では前年度、アセトアミノフェン肝障害の初期段階で、MPTが重要なステップとなることを明らかにした。アセトアミノフェンは中毒性肝障害の典型例であるが、本年度は特異体質性肝障害により市場から撤退した糖尿病治療薬トログリタゾンを取り上げ、これと臨床上安全とされている他のチアゾリジンジオン化合物について、単離ミトコンドリアに対する作用を比較し、MPTが薬物間の差異や特異体質性を説明しうるかを検討した。トログリタゾンは、CD-1マウス肝より単離したミトコンドリアに対して臨床濃度の数倍程度でミトコンドリア膨潤を惹起し、これはMPT阻害剤であるシクロスポリンAにより部分的に抑制された。現在、臨床使用されているピオグリタゾン、ロシグリタゾンにはそのような作用は認められなかった一方、肝障害性が示唆されているシグリタゾンにはトログリタゾンと同程度の作用が見られた。トログリタゾンおよびシグリタゾンはミトコンドリア膜電位の顕著な低下ならびにミトコンドリアからのCa^<2+>の漏出も誘発した。これらはMPTの原因、結果いずれにもなることから、トログリタゾンはMPTを引き起こすこと、またMPTはチアゾリジンジオン化合物による、細胞レベルさらには臨床上認められる肝障害の誘発能力の差異を生み出していると考えられた。これまでトログリタゾンによる肝障害の特異体質性の要因は薬物代謝のみしか提示されておらず、毒性への代謝物の関与は小さいという知見との矛盾があったが、本研究でのMPTは親化合物の毒性を反映しており、またMPTには多くのタンパクが介在性することから、肝障害の特異体質性も説明しうる可能性が考えられる。
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