研究課題/領域番号 |
16590124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
油井 聡 帝京大学, 薬学部, 助教授 (40192413)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 癌転移 / 好中球 / カテプシンG / E-カドヘリン / 細胞凝集 |
研究概要 |
癌組織から癌細胞が逸脱する過程は、癌転移の律速段階としてもっとも重要である。以前より、癌組織の中で多数の癌細胞よりなる凝集体が形成され、腫瘍血管を通じて流出し、腫瘍塞栓を形成して転移が成立する機構が観察されてきた。しかしながら、癌細胞の凝集体形成機構については不明であった。 本研究では、好中球がヒト乳癌細胞株であるMCF-7細胞の球状凝集塊形成を誘導する因子を産生することを見出し、その因子の同定を行ったところ、好中球のプロテアーゼのうち、特にカテプシンGが重要であることを見出した。凝集反応の機構としては、この反応が2価イオンのキレート剤の添加で阻害されること、およびE-カドヘリンに対する抗体の存在下においても阻害されたことによって、E-カドヘリン依存的に凝集が起こることが示唆された。 さらに、カテプシンGの癌細胞凝集メカニズムを検討する目的で、キモスタチンなどの低分子酵素活性阻害剤の存在下において、凝集活性が阻害されるか検討した。その結果、カテプシンGの癌細胞凝集は、酵素阻害剤によっては抑制されなかったことから、その凝集誘導は酵素活性によらない新しい機構によると考えられた。 細胞凝集塊形成は、結合組織との接着を担うintegrinの接着性が弱まり、E-cadherinを介する細胞間接着が強まることにより誘導される。そこで、凝集塊の形成前後におけるintegrinαVとβ1の発現を確認した結果、カテプシンG処理ではintegrinの発現は変化しなかった。従って、カテプシンGは、integrinを不活性化させることにより凝集塊を誘導する可能性が示唆された。一方、E-cadherinの発現は維持されていた。 よって、カテプシンGは、酵素活性非依存的な新しい機構によって癌細胞の三次元凝集を誘導すること、さらに細胞へのカテプシンGの結合に続くシグナル伝達を介したインテグリンの不活化が重要であることが明らかになった。
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