研究課題/領域番号 |
16590125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 末梢血リンパ球 / 免疫抑制薬感受性 / 黄色ブドウ球菌 / スーパー抗原 / 副腎皮質ステロイド / インターロイキン2 / 自己免疫疾患 / 臓器移植 / 腎移植 / 免疫抑制薬 / グルココルチコイド / サイトカイン / インターロイキン2mRNA / アトピー性皮膚炎 / 末梢血単核細胞 |
研究概要 |
自己免疫疾患や腎移植の対象となる慢性腎不全患者に多い免疫抑制薬耐性発現の背景として、常在菌の一つである黄色ブドウ球菌(S.aureus)の持続感染に着目し、これら患者の末梢血単核細胞(PBMC)の免疫抑制薬感受性にスーパー抗原が与える影響を検討した。健常者、慢性腎不全患者、ネフローゼ患者あるいはアトピー性皮膚炎患者名より分離したPBMCを、グルココルチコイド(GC)、シクロスポリン、あるいはタクロリムス存在下にS.aureus由来スーパー抗原のTSST-1で刺激し、これら薬物に対するPBMCの感受性をin vitroで検討した。こうして求めたPBMCの薬物感受性を、T細胞マイトゲンのコンカナバリンA(con A)で刺激したPBMCの薬物感受性と比較した。健常者では、con Aで刺激した場合に比べ、TSST-1で刺激したPBMCの方がGC感受性が有意に低かった(p=0.0117)。一方、その他各種疾患患者のPBMCで同様の検討を行った所、いずれの薬物に対しても、con Aで刺激した場合に比べ、TSST-1で刺激したPBMCの方が応答性が有意に低下していた(p<0.044)。更に、健常者および慢性腎不全患者由来PBMCをスーパー抗原刺激した場合とcon Aで刺激した場合とで、培養上清中のIL-2、4、5、10、インターフェロン(IF)γ、およびTNFα濃度を比較した。このうちIL-2濃度はTSST-1刺激したPBMCで有意に高かった(p<0.05)が、他のサイトカインの濃度には有意差はなかった。そこで次に、IL-2mRNA発現量の検討を行ったところ、TSST-1刺激したPBMCの方が有意に発現量が増加していた。またIL-2mRNAの細胞内消失半減期も、TSST-1刺激したPBMCの方が有意に長かった(p<0.05)。以上の知見から、PBMCをTSST-1刺激するとIL-2産生がmRNAレベルで亢進し、これがPBMCの免疫抑制薬感受性の低下に関連することを明らかとした。なお、本研究の最終段階において、数種のマクロライド系抗生物質や活性型ビタミンD_3化合物が、TSST-1刺激した健常者PBMCのGC耐性を克服し得るという、極めて興味深い予備的知見を得た。これらの抗生物質は、免疫抑制療法下にある各種疾患患者の感染症罹患に際して汎用されており、今後免疫系への作用をより詳細に検討する必要があると思われる。
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