研究概要 |
1.膜結合エストロゲン受容体(M-ER)の局在の検索(免疫電顕) post-embedding法を用いた免疫電顕法によって、エストロゲン刺激、非刺激時のM-ERの局在をマウス子宮とMCF-7ヒト乳癌細胞において検索した。抗ERα陽性反応は子宮上皮のクロマチンに認められたが、エストロゲン投与における核内ERαの局在の変化は、特に認められなかった。細胞質、細胞膜上にも少数の金粒子が存在したが、一次抗体を作用させなかった対照群に比べて有意な差は認められなかった。MCF-7細胞では、陽性反応はクロマチンに認められ、少数の金粒子は細胞質および細胞膜に局在した。しかし細胞によって、核内、細胞質、細胞膜の金粒子の比率が大きく異なっていることが判明した。エストロゲン刺激15分後では、細胞膜の金粒子はやや増加している印象を受けた。現在、エストロゲン刺激前後の核内、細胞質、細胞膜の金粒子密度の定量化を行なっている。 2.エストロゲン刺激時のERαのウエスタンブロット法による解析 MCF-7細胞を10nMエストロゲンで刺激後、発現するERαをウエスタンブロット法で解析した。刺激後1時間以内では、65kDおよび37kDのバンドが抗ERα抗体と反応し、明らかなERα量の変化や、ERαの修飾、分解などは観察されなかった。 3.エストロゲン刺激時のMAPKの活性化の解析 MCF-7細胞を10nMエストロゲンで刺激後、ERK/MAPK (extracellular signal regulated kinase/mitogen activated protein kinase)をウエスタンブロット法で解析した。 ERK 1,2の発現量はすべての試料でほぼ同じであったが、リン酸化されたERK 1,2はエストロゲン刺激15および30分後に増加することが証明された。
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