研究課題/領域番号 |
16590199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 千稚 九大, 大学病院, 助手 (90359935)
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研究分担者 |
大池 正宏 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70271103)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / アミロイドβ蛋白 / アポトーシス / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
血管内皮細胞は一酸化窒素(NO)をはじめ多くの生理活性物質を分泌して組織活動に影響を与えるが、微小血管における内皮由来物質の役割は殆ど解明されていない。大脳皮質には神経やグリアに接して微小血管が蜜に分布しており、その内皮に由来する物質は神経細胞の活動や脳神経疾患の病態生理に影響を与える可能性が考えられる。本研究は、Aβによって大脳皮質微小血管内皮より分泌される物質の神経作用、特にその病態生理的意義の検討を目的とした。ウシ大脳皮質微小血管内皮細胞(BBEC)をAβで24時間前処置したところ、対照条件では観察されない誘導型NO合成酵素(iNos)の蛋白の発現が観察された。NO感受性蛍光色素DAF-2で測定したところ、Aβで処理したBBECではL-アルギニンの存在下でNOが自然産生されることが測定された。NOには細胞障害作用があることが知られているため、このiNOS由来NOの神経障害作用の有無について次に検討した。副腎髄質由来細胞株のPC12細胞をAβ処理BBECと48時間共培養したところ、PC12細胞は著しいアポトーシスを示した。これはNOS阻害薬のL-NAMEで抑制されたことより、iNOS由来NOによって引き起こされたものであると考えられた。強い炎症刺激として知られるリポポリサッカリドとインターフェロンγで処理したBBECでもiNOS蛋白の発現と共培養したPC12細胞でのアポトーシスが観察され、Aβがこれらの炎症刺激と同様の侵害刺激となることが明らかになった。これらの結果より、AβはBBECにiNOSの発現をもたらし、内皮由来のNOは隣接する神経細胞にアポトーシスを誘導する可能性が示唆された。このことはまた、脳の微小血管内皮細胞が、Aβによる障害の場としてアルツハイマー病などの病態に関わる可能性を示すものと考えられた。
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