研究課題
基盤研究(C)
プリン作動性情報伝達機構が炎症時にどのように変化するかを検討した。血管内皮細胞にインターフェロン(IFN)-γを作用させるとATPによる細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)上昇反応の著明な亢進が認められた。このIFN-γの作用は内皮細胞P2X_4受容体の発現亢進および細胞外ATP分解酵素であるNucleoside triphosphate diphosphatase (NTPDase)1の発現を低下に起因することが明らかになった。IFN-γの作用はJak-STAT情報伝達系に媒介され、他の炎症性サイトカイン、IL-1βやTNF-αで相乗的に増大した。一方、内皮細胞をATPで刺激するとプロスタグランジン合成酵素(COX)2の発現誘導が認められた。このATPの作用を媒介する受容体の性質はP2X_4受容体の薬理学的性質と一致しており、p38 MAPキナーゼの活性化に依存したCOX2 mRNAの安定化によることが明らかになった。IFN-γ処理によりP2X_4受容体の発現を上昇させた細胞ではATPによるCOX2の発現誘導が増大していた。一方、血管内皮細胞における作用と違って、マウスマクロファージ細胞株J774では、IFN-γには、濃度、時間依存性に細胞外ATP分解活性を上昇させ、NTPDase 1mRNA発現を亢進させた。IFN-γのNTPDase1発現上昇作用は、シクロヘキシミド、Jak阻害剤、蛋白質チロシン残基脱リン酸化酵素阻害薬のオルトバナジン酸で抑制されたが、チロシンリン酸化酵素阻害薬およびp42/44 MAPキナーゼ阻害薬で亢進した。以上の結果から、IFN-γはJak-STAT系を介し、蛋白質チロシン残基脱リン酸化酵素の活性化を介して作用すると考えられた。炎症性サイトカインは細胞特異的に細胞外ATP分解酵素の発現を調節し、炎症巣におけるATPを介した内皮細胞やマクロファージの相互作用に関与すると考えられた。
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