研究課題
基盤研究(C)
Neuronal Ceroid Lipfuscinosis(NCL)患者の細胞中には、主にATP合成酵素のサブユニットcからなるプロテオリピトの蓄積が認められる。NCLに関連する蛋白質としては既にTPP-1、Cathepsin Dなどといったリソソーム酵素やCLC-3なとのエンドソーム膜蛋白質、および機能が不明なCln3p、Cln5p、Cln6pおよびCln8pが見い出されてきた。これらの蛋白質について我々は抗体の作製を行ない、特にCln3pおよひCln6pについての検討を行なってきた。Cln3pはN型糖鎖をもつ分子量約60kDaの膜蛋白質であるのに対してCln6pはN型の糖鎖を持たない分子量30kDaの膜蛋白質であった。臓器特異性については、Cln3pおよびCln6pは脳、肝臓、腎臓、脾臓および膵臓のいずれの臓器にも認められたが、Cln3pは脳、Cln6pは脳および肝臓における含量が少なかった。また、細胞内局在を調べた結果Cln3pはリソソーム画分に、Cln6pはER画分に局在を示した。共免沈による分析を行なった結果では、TPP-1とCln6pが共沈し、相互に親和性を持つことが確認された。正常な細胞ては環境維持および機能保全のために、細胞内小器官はオートファゴソームおよびそれに続くエンドソーム/リソソーム系によって分解され、一定レベルに保たれる。このことを明らかにするため、オートファジーに関与する蛋白質であるAtg7を肝臓特異的に欠損するマウスにペルオキシソームの過剰発現を誘導するdiethylhexylphthalate(DEHP)を投与し、DEHP投与終了後のペルオキシソームの減少の過程をコントロールマウスと比較した。その結果、コントロールマウスでは過剰なペルオキシソームの特異的な消失か極めて速やかに観察されるのに対して、Atg7欠損マウスの肝臓ではこの消失が極めて遅くなっていた。このことから、オートファジーが過剰なペルオキシソームの特異的なクリアランスに必要であることが確認された。細胞内小器官の分解はこのオートファジーの後にリソソーム系で行なわれているが、NCL患者の細胞では何らかの原因によってこの機能が阻害されている。
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