研究課題
基盤研究(C)
赤血球型ピルビン酸キナーゼ(R-PK)異常症モデルマウス(Pk-1^<slc>)の病態解析で、脾臓において著明な赤芽球アポトーシスが観察された。Pk-1^<slc>から樹立したフレンド細胞株SLC3は継代中にアポトーシスを自然誘発する。低グルコース処理や2-デオキシグルコース(2DG)添加培養を用いて解糖系を阻害すると、R-PK遺伝子変異を持たない赤芽球にもアポトーシスが誘発され、さらに予めグルタチオン前駆体のN-アセチルシステインで前処置をしておくと、2DGによるアポトーシスが抑制された。SLC3に野生型R-PKを恒常的発現させたトランスフェクタントではSLC3に比してR-PK発現量依存性にROSの低下が認められた。これらの結果からR-PKは赤芽球細胞内ROSによって誘導されるアポトーシスを抑制する役割を果たしていると考えられた。Pk-1^<slc>に同定されるR-PK遺伝子変異はR-PKの基質結合部位近傍の単一アミノ酸置換Gly338Aspを来す。基質親和性の低下した変異タンパクに対して生理的濃度以上の基質ボスホエノールピルビン酸(PEP)を作用させることで解糖系を正常化し、細胞内酸化状態の改善やアポトーシスの軽減が認められるかどうかをin vitro培養系で検討した。SLC3の培養液中に5mMPEPを48時間添加培養すると、SLC3細胞内PEP濃度は約5〜7倍に増加し、さらにR-PK反応の産物であるピルビン酸濃度は対照の約2倍に増加した。細胞内ROSはPEP添加濃度依存性に減少し、5mMPEPでは赤芽球アポトーシスは約1/2に減少した。以上より基質親和性の低下した変異酵素によって発症するPK異常症に対して、基質の大量補充が赤芽球細胞内ROSを減少し、細胞死を回避出来ることが明らかになった。
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