研究課題/領域番号 |
16590264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
藤川 和男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90247958)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 遺伝子解析 / 生命倫理 / 遺伝カウンセリング / ヒト遺伝学 / 原爆被爆者 / バイオ技術 / 放射線 / DNA毒性 / 原爆二世 |
研究概要 |
ヒト遺伝子解析にはどのような倫理的問題が伴うのか、それにどのように対処し、解決すべきかを文献調査に加えて、国内の医療、研究機関などの倫理委員会について調査した。調査した機関ではいずれも適切なインフォームド・コンセントの実施に努力していた。しかしながら、対象となる人の理解力は千差万別であり、統一した方式でインフォームド・コンセントを確立することは容易ではないと判断された。さらに、平成17年4月に施行された「個人情報保護法」の具体的な適用についても、各機関の倫理委員会でどのように対処しているかを調べた。調査したいずれもの研究機関おいても、平成17年度初めから遺伝情報の管理体制の強化や患者などからの試料授受を無名暗号化するなど緊急に検討に着手したことが分かった。また、欧米諸国以外の国における倫理委員会の現状について、中国を例に調査した。中国でもこの分野への関心が急速に高まっており、数年前には皆無であった遺伝倫理、遺伝相談などに関する出版物が多数刊行されている。しかしながら国としての倫理規定、法律などは未制定であり、倫理委員会などの確立を含めてこれからの課題であろうと考えられた。 ヒト遺伝子解析に伴う倫理問題について、実施の前後に対象となる人にどのように説明するかはきわめて難しい課題である。本研究を進める上で、この分野における人材不足も感じられた。従って我が国におけるヒト遺伝学の教育研究、遺伝カウンセラーの養成などを急務である。近畿大学においては平成17年度から大学院に遺伝カウンセラー養成課程を設置することになり、本研究代表者(藤川)がその課程の責任者に就任し、生命倫理委員会の設立に携わった。今後、遺伝子解析に関わる生命倫理問題に対処できる遺伝カウンセラーの養成に期待したい。 本研究では、遺伝子解析の主要バイオ技術を用いて、マウスなどの小動物の遺伝子・染色体解析の実験研究も行った。実験では、原爆放射線の人体影響を正しく理解するための基礎資料を得た。また、ある種の細胞周期制御に関わる遺伝子が、放射線のDNA毒性の発現抑制に機能している証拠を得た。
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